津まつりの郷土芸能と巡行

 津まつり当日は、古くから祭礼に登場するしゃご馬、唐人踊り、八幡獅子舞などの郷土芸能が津八幡宮でお祓いを受け、神輿とともに八幡町内を経て津市中心部へと繰り出します。その後、津まつりの二日間で氏子町の巡行のほか、津まつり各会場にて演舞を行います。

 この様子は、津まつり初期を伝える古文書や絵巻物などにも描かれており、祭礼が行われるようになってから400年近くが経った現在でも少しずつ形を変えながら受け継がれています。

写真1:津八幡宮を参拝する郷土芸能の参加者 


郷土芸能の巡行

一日目

 朝7時30分より津八幡宮では神幸祭が行われ、御殿から神輿へ御霊が遷されます。同時に、境内では郷土芸能を継承する各団体が続々と集まってきます。
 その後、9時より郷土芸能がお祓いを受け、境内にて奉納演舞を行います。奉納演舞を終えた郷土芸能は、津市中心部へ向け出発します。
 途中、八幡町からエンマ堂前まで続く八幡通り(伊勢街道)では、郷土芸能が順に隊列をなして巡行します。この様子は、津まつり初期を伝える古文書や絵巻物などにも描かれており、江戸時代から続く津の街の文化、伝統を今に伝えています。
 八幡町を巡行した芸能は、大門や東丸之内のほか、津城跡周辺の氏子町を巡行します。また、津まつり各会場にて演舞を行うなど、津まつりを盛り上げます。

写真2:八幡町を巡行する郷土芸能(津民芸保存会)

二日目

 二日目は、前日から引き続き氏子町の巡行を行うほか、午後には津まつり大パレードや津・郷土芸能の集いにて演舞を披露します。
 津まつり大パレードでは、津裁判所前から津松菱前まで巡行を行い、パレードコース各所で演舞を行います。また津松菱前では、岩田橋を渡って還御する津八幡宮の神輿を見送ります。
 津・郷土芸能の集いでは、津市内各地域で活動する巨大龍踊りや白塚獅子舞などの芸能も一同に会し、フェニックス会場にて演舞を行います。

写真3:神輿を見送る郷土芸能


津八幡宮での奉納演舞と巡行

 津まつり一日目の津八幡宮では、9時より郷土芸能が境内に集まりお祓いを受けます。その後、境内にて順に奉納演舞を行います。奉納演舞では、御霊を遷した神輿の前で、しゃご馬や唐人踊り、八幡獅子舞などが演舞を奉納します。奉納演舞が終わると、各郷土芸能は参道入口の大鳥居前より山車や行列を繰り出して、八幡町などを練り歩きながら津市中心部へ向かいます。


奉納演舞・八幡町巡行の順

 元気玉太鼓[津商工会議所 青年部]
 しゃご馬[津しゃご馬保存会]
 津高虎太鼓 華乃津会
 津青年会議所 高虎太鼓
 分部町唐人踊り[分部町唐人踊り保存会]
 八幡獅子舞・入江和歌囃子[津民芸保存会]

※ 津青年会議所高虎太鼓は大鳥居前の山車上にて演舞を、その他の芸能は、境内にて演舞を奉納します。

写真4:大鳥居前に集まる山車と芸能


津八幡宮より巡行する芸能

元気玉太鼓[津商工会議所 青年部]

 江戸時代に疫病退散を願って玉山車が作られ、西町(現;津市中央)の人々により守られてきました。
 少子高齢化により一時休止しましたが、平成10年に津商工会議所青年部が「元気玉」として再復活させ、現在に引き継がれています。

写真5:元気玉太鼓(山車)

しゃご馬[津しゃご馬保存会]

 江戸時代初期にかや町の出し物「石引」の先達として出現したとされており、祭礼当初から受け継がれている、津市を代表する郷土芸能の一つで、津市民に長く親しまれています。

写真6:しゃご馬

津高虎太鼓 華乃津会

 平成4年12月に発足。見目麗しく清らかで、津市を代表する高虎太鼓の傘下に入り、現在に至っています。

写真7:津高虎太鼓 華乃津会

津青年会議所 高虎太鼓

 昭和48年に津青年会議所創立二十周年記念事業として創設されました。津まつりでは山車上にて迫力ある高虎太鼓の演奏を行います。

写真8:津青年会議所 高虎太鼓(山車)

分部町唐人踊り[分部町唐人踊保存会]

 津まつり初期の寛永13年から続く芸能で、江戸時代の「朝鮮通信使」をまねたものとされています。
 隊列をなし、止まってはラッパを吹き、笛や太鼓の音に併せて「歓喜の踊り」を舞う姿は津まつりの花形として古くから受け継がれ、津市を代表する郷土芸能の一つとなっています。

写真9:分部町唐人踊り

八幡獅子舞・入江和歌囃子[津民芸保存会]

 八幡獅子舞は、寛永年間(1624年~1644年)に神輿の先達として行列に加わったのがそのはじまりとされています。日本全国で赤い獅子頭に緑の胴の獅子がよく見られますが、八幡獅子舞は金の獅子頭に白い胴で、全国的にも珍しい獅子となっています。津まつりでは、氏子の家々で門舞と本舞を舞います。
 入江和歌囃子は、津市入江町に伝わる踊り囃子に神田囃子(馬鹿囃子)の面白さを加味して、明治中期に完成しました。津まつりでは、お囃子に合わせて山車の上で大きな鯛を釣り上げます。
 昭和41年には津民芸保存会が結成され、津まつりでの巡行のほか、1月1日には津八幡宮の歳旦祭にて奉納されるなど、八幡獅子舞と入江和歌囃子を現在に継承しています。


写真10(上):八幡獅子舞(本舞)

写真11(下):入江和歌囃子


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